帰る日が近づいてきたマザーテレサにはなれない

2009年04月06日

「育樹」の敵は・・・


灼熱の4月に突入しました。
雨が降り始める5月末までの約2ヶ月間が、
この国でもっとも暑い時期です。

乾燥も激しいのでリップクリームは必需品ですが、
先日、昼間に使おうとしてキャップをはずしたら、
棒状のはずのリップが液体になって容器からこぼれ落ちて
一瞬あ然としてしまいました。


   *  *  *

さて今回は、昨年8月、D小学校に植えた木は
その後どうなったのか、という話を少ししたいと思います。
(植樹報告は9月のブログをご参照ください)

当然のことですが、植樹というのは、
植樹そのものに意義があるのではなくて、
「植樹後」にこそ意義があります。
植えた木がその後枯れてしまったら意味がないわけです。

それで思い出すのは3年前、スマトラ沖地震の復興支援活動の
取材でタイ南部に出かけたときのこと。
大きな被害を受けた海岸沿いに植樹の跡が見えるものの
ちょんと生長している苗木は一本も見られません。
地元の人に聞くと、
「国際NGOのメンバーが地元の人と植樹セレモニーをして
写真を撮って帰っていったがその後の管理がされなかったため枯れてしまった」
とのこと。・・・ため息が出ました。

本当に大事なのは、植樹ではなくてその後の『育樹』のはずですが、
このような植樹だけで満足してしまうケースはどこでも見られます。


   *  *  *

話をD小学校に戻します。
植樹から8ヶ月が経ち、毎週何回か訪れて様子を見守っていますが、
これまでに感じたのは「育樹って難しい」ということです。

丈夫な柵をつけて、児童らが校長や先生の管理のもと
水遣りをしているから万全だと思っていたら
そんな簡単な話ではありませんでした。


最大の敵は、動物とヒトです。
柵の横からちょっとでも葉がはみ出ると、すかさずヤギが食らいつく。
苗木が上に伸びて柵の上から葉がはみ出ると、
今度は牛が食らいつく。

そして動物以上にコントロールできないのが、ヒトです。
子どもか大人かは分かりませんが、おそらくちょっとした
いたずら心で苗木の幹や枝を折っていくのです。

先日、校庭に植えた20本のニームの木の中で
群を抜いて生長のよかった木が幹ごと折られ、
校長や児童らとともに肩を落としました。
その木の幹はほかの木と比べて2~3倍は太く、
高さも2メートルを超えて一番期待をかけていただけに残念でした。

校舎の前に植えた15本のテベシアの木は
まとめて柵で囲っているため何の被害もなく順調に育っていますが、
校庭に植えた20本のニームの木はこれで20本ともが
動物かヒトの被害を受けたことになります。


動物による被害はある程度想像していましたが、
ヒトによるものは予想外でした。
時間はかかるけれど、『啓発』を地道に続けていくことが
育樹を成功させる一番の近道だということを改めて感じました。

798fc582.jpg

↑テベシアに水遣りしてる子たちを撮っていたら・・・

bb7ee4df.jpg

↑みんなが寄ってきた!
(収拾がつかなくなるのでここで撮影終了)


   *  *  *

育樹といえば、この間うれしいことがありました。

学校のPTA会の会議に参加させてもらったときに
去年植えた木の管理についての議題も上がったのですが、
そのときにPTA会長さんが、
「ここにいる日本人ボランティアが私たちの学校のために木を植えてくれた。
今度は私たちがこれらの木をいかに守っていくかを考えていかなければならない」
と役員の前で話してくださったのです。


結局その日には、動物や人対策として、
柵のまわりにとげのついた木の枝を置く、ということになりました。
会議の後1ヶ月が経過してまだ何の行動もとられていませんが(苦笑)、
PTAの人たちや学校の先生たちが「学校の木として守っていかねば」
という意識になってくれていることだけでも
私には大きな励みになりました。
(行動もすぐに伴えば言うことなしだったのですけどね)


   *  *  *

同校では、今年も苗木生産を行います。(今月開始)
今年の生産予定数はなんと5000本!!
PLCEというプロジェクトに買い取ってもらえる予定です。

本数も相当ですし、プロジェクトに買い取ってもらうために
ある程度の質が求められるということで、
これを児童中心にどうやって運営していくか、ということを
いま校長やPTAの人たちと話し合っています。

容易なことではないと思いますが、うまくいけば
学校の口座に20~30万Fというお金が入り、
来年度の児童一人あたりの負担金を減らしたり
学校の設備を整備することができます。

成功するように、私もできるだけの協力をしたいと思っています。



まとまりのない長い文章になりましたが、以上!



at 02:15│Comments(10) 協力隊 

この記事へのコメント

1. Posted by あん   2009年04月06日 10:31
リップが液状になるって。。。
メキシコも4月、5月が一番暑くて、私の任地も最近40度を超えるようになってきたんだけど、リップは溶けないなぁ。
いつか、この日差しの強さと、暑さが懐かしくなる日が来るんだろうね。
最近、デスペの話がちらほら出始めて、センチメンタルになってます。
2. Posted by デジママ   2009年04月06日 12:22
東京までとくとくきっぷで行って帰って来た{電車}
えらい時間がかかった 日本の端から端まで
行った気分になった。
3. Posted by デジママ   2009年04月06日 15:08
地球アゴラの野球を教える人 出合祐太さん
録画して置きました。{野球}
4. Posted by ぶるとも   2009年04月08日 04:14
>あんちゃん
この暑さ、絶対懐かしく思うと思う。
でも日本の湿度の高い夏に比べたら全然いいよね~
夜はまあまあ涼しいし。
任地もあと2ヶ月ちょい。
私も時々センチメンタルになるよー
最後、有終の美を飾って帰りましょうぜ~
>デジママ
とくとく切符というのは鈍行列車なのかしら?
私は東京~名古屋の高速バスが好きでした。安いし快適だし。帰ってからもお金がないから、相変わらず新幹線使わず高速バスにお世話になるんだろうなあ、私。
出合くんの番組録画ありがとね。
帰ったらぜひ見せてください♪
5. Posted by デジママ   2009年04月08日 09:00
夜行バスで行ったこともある{バス}
明日は大阪まで行って来る{電車}
6. Posted by たむこ   2009年04月08日 15:27
今年も小学校Dの校長はやってくれましたね。
生産予定本数5000本!!
大丈夫かなぁ。
1000本、2000本、3000本…
と、増やしていくならまだしも。
まぁ、がんばって、としか言えませんが。
大学の授業で(経費実費)、インドネシアで植林するっていうのがあるんだ。
ほかにもブータンと中国もあるけど。
お金が高いけど、行けるならいきたいなと。
でも、ブルキナのように植林して放置することになるのかなぁ、と改めて思いました。
まぁ、先生は日本人だけどインドネシアで育った人でちょくちょく帰ってるし、森林管理も専門の先生だから大丈夫だろうけど。
植林って大変ね~(もう人事??)
今年も苗木生産がんばって!!
7. Posted by ぶるとも   2009年04月10日 04:06
>デジママ
大阪?堺に行くの?
いってらっしゃ~い♪
東京に比べて大阪は近いから楽でいいよね。
>たむこさん
ほんと、植林って大変~!
って、他人事じゃないですよ!
たむこさんも関わってたんだから!
インドネシアは雨がよく降るし、動物の害もこちらに比べたら全然マシなのでは?
そちらはこちらよりもっと大規模にできるんでしょうね。
いいなあ、アジア。
久しぶりにアジア的な雰囲気に包まれたいなあ。
8. Posted by デジママ   2009年04月10日 05:43
はい 行って参りました{音符}
やはり 立ち退いただけのことはありました
スーパー堤防が出来つつあり 大和川の水辺で遊ぶという目的は達成されつつあった。桜の若木が植えられ あたりは公園で市民の憩いの場となるようです。
9. Posted by キリ   2009年04月13日 13:30
もしも人違いだったら大変申し訳ないのですが、
wさんそう言えば今年6月に帰国するはずだよな~って思って、「ブルキナファソ 青年海外協力隊」で検索したらこちらのブログを発見しました!出国前に頂いた『太陽の子』は今でも僕の座右の書の一冊です。
以前の記事も含めてだ~っと読ませて頂いたのですが、何かもう、何からお聞きすればいいのやら、、、という具合で。一先ず、日本に帰ってきてまたお話を聞ける日を楽しみにしています!残り2か月、お気をつけて元気に帰ってきてください!遠く日本より、いつも応援しています。
10. Posted by ぶるとも   2009年04月13日 21:52
>デジママ
市民の憩いの場のために立ち退きした甲斐ありましたか。
昔住んでいた川崎アパートがメモリアルセンターの駐車場になっていたのを見たときはショックでしたが、昔住んでたところが公園になるのならまだ明るい気持ちになりますね。
>きりちゃん
お久しぶり~!!!よくぞ見つけてくれました!
卒業してから入った会社、まだ続けてるの?それとももう先生になってたりして?
おかげさまでこちらは元気にやってます。
気がつけばもうあと2ヶ月で帰国。早いものです。
いまどこにいるの?東京?
携帯変わってなかったら、帰ったら携帯で連絡するね。変わってたら、 tomokowatari@yahoo.co.jp まで連絡ください。
すぐに会えるのを楽しみにしてます^^

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